レガシィGT−B

(アプライドBG5B5CD、エンジン形式EJ20RDWCJE)
ブレーキキャリパ・ブレーキマスタOH

ここに掲載の作業要領は、富士重工推奨の手順に完全準拠していません。危険な作業が有るので、くれぐれも注意して行なって下さい。作業で起こった損害等について、作者は責任は一切負いません。

ブレーキは、重要保安部品です。単位作業は簡単ですが、取り扱いは、細心の注意を払って下さい。

このページの内容や、この内容に基づく作業の質問一切は、メールで問い合わせ願います。このページに関して、整備関係者の方々への質問は、極力なさらないように。

当ページの内容は、BG/BD後期型(年改B型)について述べています。レガシィ2代目でも、前期型と後期型ではマスターシリンダ・ABSの構造が若干変更されているようです。2代目の整備解説書については、スバルディーラの殆どは前期型のものが提示されるはすですので、後期型の整備をされる方は後期型の追補版があるか問い合わせるほうが良いでしょう。

BG/BD型でも、TCS(トラクションコントロール)付き車はエア抜き作業が異なります。注意してください。


 我がレガシィ号も10年以上12萬キロ以上を超え、ゴム関係の部品が悲鳴を挙げつつあります。今回は、ブレーキキャリパとブレーキマスタのオーバーホールを「思い切って」実施しました。
 我がレガシィはABS付きなので、ABS装着車で世間一般に言われている「ブレーキラインの開放=ABSアクチュエータ(整備解説書ではハイドロリックユニットと表記)のエア抜き」が必要です。ABSアクチュエータのエア抜き法も解ったので(埼玉スバルさきたまに行った次いでで整備解説書の中巻をコピーさせていただきました)実行に移せました。

 ABSのエア抜きですが、ABSユニットに組み込まれている「シーケンス制御」を呼び出して動作させます。
 図の右下はクラッチペダル上にあるダイアグコネクタ(黒色)の正面視のピン番号です。ABS関係はこの中で3番と6番にアース端子を差し込むことにより、ダイアグチェックとシーケンス制御が使用可能です。
 過去にアース端子が使われていない車では、ダイアグコネクタハーネスにアース端子がテープで共巻きされているはずです。ほどいて使ってください。
 この中で6番はL端子と呼ばれているもので、イグニションキーOFFの状態で6番とアース端子を接続、イグニションキーをONにすることによりABS警告灯を利用したダイアグメモリ呼び出しが可能です。(ダイアグコードの詳細についてはここでは述べませんが、最新コードから3個を記憶、"11"のコード出力から始まる。コントローラ側で何も記憶されていない場合は、"11"のコードを出力し続ける。整備解説書参照)
 3番端子はK端子と呼ばれているもので、シーケンス制御呼び出しは6番端子とこの3番端子をアース端子に接続します。
 さて、「シーケンス制御」の呼び出し方法です。ABSが正常であればイグニションキーON時に球切れチェックの意味で1.5秒だけ点灯するABS警告灯ですが、これが大きな意味を持ちます。
 まず、停止状態(車輪速4km/h以下)でブレーキランプの点灯とABSユニットが正常動作していることを確認します。
 次に、イグニションキーOFFの状態でダイアグコネクタの3番と6番をアース端子に接続します。
 接続出来たら、イグニションキーをONにします。いつものようにABS警告灯が1.5秒点灯しますが、消灯を確認したらすかさず(0.5秒以内)にブレーキペダルを強く踏み込みます。ポイントは、ブレーキペダルを強く踏み続けることです。
 ABSコントローラがブレーキペダル踏み込みを正常に検知出来ると、次のABS警告灯点灯と同時にABSアクチュエータのポンプとソレノイドバルブが1.5間秒作動します。この状態はABSが動作している状態ですから、「ギギギギ」というABS作動音とブレーキペダルが振動します。振動していても、ペダルは踏み続けている事。
 ABS警告灯が1秒間消灯します。ペダルの振動は収まりますが、アクチュエータのポンプは作動し続けます。ペダルは踏み続けている事。
 ペダルを踏み続けていると、もう一度ABS警告灯点灯と同時にABSアクチュエータのポンプとソレノイドバルブが1.5秒間作動し停止ます。つまり、ABSは2回作動します。(厳密に言うと、1回目と2回目では作動しているソレノイドバルブが違う)
 1秒間ABS警告灯消灯の後、再度ABS警告灯が1.5秒点灯し消灯すればシーケンス制御終了です。ブレーキペダルを踏むのを止め、イグニションキーOFFにしダイアグコネクタに接続しているアース端子を外してください。 

作業インプレ

 まず、ブレーキリザーバタンクのブレーキフルードを抜けるだけ抜き取ります。廃油は、まぁまぁな色です。
 今回、油受けやパーツ受けに大活躍した、好物「寒天デザート」の空き箱。7-11の一部の店舗で棚落ちせずにしぶとく取り扱い中です(笑)
 リザーバだけ抜いても、配管内のフルード量はバカに成らないのですが…
 先ずはリアから。リアキャリパはシングルピストン、軽量でボルト1本止めです。
 お隣町(旧岩槻)にある曙ブレーキ製。
 外れたリアキャリパ。この日(2009-7-15)は暑かった…そう言えば、ジャイアント号を購入して1年。1年前も暑かった…
 大した損傷はありません(当然か)
 ピストンを抜きます。当然のことながら、シリンダにエアを吹き込みながらピストンを押し出します。
 ポイントは、ピストン飛び出し防止のため図のように「当て板」を噛ますことです。今回はダンボールですが、その辺の木切れでも構いません。
 ピストンが飛び出すとき、強烈な破裂音がします。よって、相当勢いが良いので指を挟まないようにも注意が必要です。
 リアシールキット。部番26297AA040。ピストンブーツ・ブーツリング・ピストンシール・スライドピンブーツ・専用グリースのセットです。「さきたま」なら常時在庫のはずです。
 リアシリンダの状態。ピストン共々左右とも状態は良好のようです。
 ピストンシールの取り出し。精密マイナスドライバで引っ掛けて取り出します。
 リアキャリパの組み立てです。ピストンシールはブレーキフルードに漬けてあります。ピストンにゴミが入らないように注意します。
 ポイントは、シリンダ・ピストン・シールにブレーキフルードを塗りつけて組み立てる、ブーツリングの嵌め方です。
 ブレーキフルードを塗りつけておかないと、ピストンが組み付け出来ないばかりか、潤滑なしで無理やり押し込むとシールが捩れる恐れがあります。どうしても押し込むときは、ピストン戻しでゆっくりと。
 ブーツリングを嵌めこむ時は、ピストンを1/3位出しておくと作業がしやすいです。
 整備解説書に従い、ブーツ類に添付のグリースを塗りつけます。
 完成。車体に取り付けです。
 お次はフロント。2ポッドのためリアの2倍強の作業量です。
 こちらも曙ブレーキ製。
 フロントの2ポッドキャリパは、ピストン抜きにコツが要ります。左右均等にピストンを出さないと手間になります。
 調子に乗って加圧すると、片方だけ抜けてしまいもう片方が取り残されます。今回は、ピストン戻しで受けながらやりました。
 フロントシリンダの状態。ピストンに若干の錆がありましたが左右とも状態は良好のようです。
 ピストンとピストンシールをブレーキフルード漬け中。
 ブレーキフルードは(自動後退等で普通に入手できる)勿論「トヨタ純正ブレーキフルード」(笑)
 ところで…「スバル純正ブレーキフルードS」とは何者???
 フロントキャリパ組み立て。図右下の丸印のパーツは、ガイドピンの先端についています。
 リアキャリパ同様、ブーツ類に朱色のグリースを塗りつけます。
 間隔が狭くて発狂しかかった、ブーツリングの嵌めこみ。エアを吹いてピストンを出してあります。
 完成。但し、リアキャリパと違いその他のブーツ類は車体側に付いているので、キャリパを取り付けながら交換。
 ガイドピンを引き抜いてグリスを塗りつけながらブーツ交換。
 下側のガイドピンに、先ほどのゴム輪のような部品が付きます。(前期型の整備解説書には記載なし…構造変更?)
 お次はマスターシリンダ。こちらはトキコ製。タイヤハウスと隣接且つ傍にPCVやアクセルワイヤもありとても面倒、発狂しました(笑)
 まず、マスターシリンダ固定ナット(図矢印)で発狂、もっと発狂したのはプライマリピストンのフレアナット(図丸印)。
 フレアナットにはフレアナットレンチを使用しなければならないのですが…フレアナットレンチが掛からず、10mmスパナで祈る気持ちで緩め。何とか緩んだ(舐めたらアウト)。当然のことながら、組み付けはもっと発狂(笑)
 何とか外れたマスターシリンダとリペアキット。部番26471AC022。これが意外と高い、7漱石します。
 丸の部分が、前期型と後期型の違い。
 整備解説書(前期型)ではCリングがあることになっていますが、これ(後期型)はキャップ式。
 リザーバタンクがピン止めなので、ピンを打ち抜きます。ピンはリペアキットに同梱なので、どうしても取れない場合は壊してしまいましょう。
 ピストンが抜けた図。ブレーキフルードが大量に出てきます。手がヌメヌメ(笑)
 プライマリピストンは、ひっくり返せばブレーキフルードとともに出てきます。セカンダリピストンは、先ずリザーバタンク接続部にピンが刺さっているので、ピンが見える側を下にしてドライバ等でピストンを数回押せば抜け落ちます。セカンダリピストン本体は、ひっくり返しただけでは出てこない(引っ掛かる)ので、エアを送りある程度引き出したら軽く叩いてセンターを調整しながら外します。
 セカンダリピストンは、シリンダと完全平行でないと抜け出ません。これは組み付け時も同様です。また、取り出せないからと言って無理やり引っ張るとシリンダに傷が付く恐れもあるので注意が必要。
 すべて組み終わったら、エア抜きです。おろしたてのエアフォース1MIDと2年経過のSTIペダルカバー。完全にフルードが抜け切っているので、最初の50回位は足応えなしのスカスカのペダルです。唯ひたすらホンピングに勤しみます。
(閑話休題…スバルWRC撤退で、STIさんはどうなってしまうのでしょうか???)
 今回はアストロプロダクツのワンマンブリーダを使用。結構便利です。
 ABSアクチュエータを含めたエア抜き法は、@各輪通常のエア抜きを行いペダルストロークを確認→AABSシーケンス制御を起動させる→ペダルストロークを確認し、正常なら終了で異常があれば@からやり直し。
 フルードが完全に抜け切っている場合は、ペダルタッチが正常になってもエア抜きとABSシーケンス制御を数回繰り返したほうが良いでしょう。
 整備解説書では、エア抜きの順序は「右フロント→左リア→左フロント→右リア」です(X字配管のため)
 今回交換した部品+「トヨタ純正ブレーキフルード」を1.5L。(最初の1L近くは、エア抜きで捨てているようなものですが…) 

おまけ・ブローバイホースの交換

ヒビが入っています。ゴムの弾性は既にありません…
ホース・バキューム(部番…LH:99071AA160/RH:99071AA001)

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初版:2009-07-15